- 325 : ひまらやん。 : 2008/04/25(fri) 18:57
- 「ねぇ〜ん、オヤジに内緒で金貸してよぉ。」
そう言いながら、ババアが人差し指を立てた。 1万と言う意味じゃない。10万だ。 ババアが優しくなるのは、金の無心をするときだけだ。 「またか・・・」いつもの事とは言え、心の中で俺はため息を付いた。
「言う事聞けなきゃ死んでやる!」 「あんたがいい子にしなきゃダムに飛び込んでやるから!」 今でなれば「あっそ、勝手に死ねよ。」で済む話。 当時小学生の俺には、それはとてもとても恐ろしい事だった。 「いい子にしてないと母親が居なくなってしまう…。」 ババアの帰りが少しでも遅くなると、死んでしまったのではないかと本気で心配する日々だった。 常にババアの顔色を伺い、「いい子」で居る事に必死だった。
「もうアンタしか頼れないのよ!」 「親を見捨てる気?!そんなことしたら承知しないよ、覚悟しろよ!」 その度、渋々と俺は、ババアに金を渡すのだった。 「ンフ〜、やっぱアンタは頼りになるわぁ〜。ホントいい子! ちゃ〜んと返すからさっ、ネッ。」 満面の笑みを浮かべながら、ババアは10万を懐に収めた。
解りきってはいたが、それは当然、戻ってくることは無かった。
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